やすだ 😺びょうたろうのブログ(仮)

安田鋲太郎(ツイッターアカウント@visco110)のブログです。ブログ名考案中。

🐮ノリちゃんのピカレスク大冒険、または昭和五十六年立川会社員殺人事件について🐴

※注意 本記事における事実関係の記述は朝倉喬司『犯罪風土記』に依拠しています。本記事は犯罪を擁護する意図はありません。また、本記事は関係者を非難する意図もありません。以上につきよろしくご了解ください。 1.イントロ。飛ばしてかまいません 2.事…

🐮休日の過ごし方、または「有意義」について🐴

昼下がり。いつも文机に頬をつき、路地裏のさして変わり映えのしない風景を眺めながら物憂げな顔の貧書生、牛君(名前考案中)の閑居に盟友の馬君(名前考案中)が訪れる。近頃はウーバーイーツで働いている馬君、今日は早々に仕事を切り上げ、どうやら一風…

認知科学からみたゲームの効用:或いは「パターンを食べるパックマン」としての脳髄

ゲームが「頭にいい」らしいことは薄々気付いていた。しかしなぜ・どのように「頭にいい」のか、今までは語る語彙を持ち合わせていなかった。ある日いつものように気ままに読書していて偶然パズルのピースが嵌まり、幾分か語れる語彙を得たので書いてみるこ…

死に抗う、無意味でかつ自由な生命

浅田彰『構造と力』といえば、ポスト構造主義の前史から当時の最前線までを扱った優れた思想史の書と見做されており、実際に紙幅の多くはラカンやドゥルーズ=ガタリといったポスト構造主義者の理論に対する議論に充てられている。だが本全体の底流にはマック…

不自然な男の性欲

どうもこんばんは、安田鋲太郎です。 さて今回は男の三大欲求すなわち性欲、性欲、性欲のうちの一つ、性欲についてお話します。 僕は性欲はなにかと男女非対称なものだと思っているので、基本的には男側の視点からの話になりますが、スッキリした文章にする…

多重人格、心的外傷、脳内麻薬、自傷行為

※筆者は医療の専門家ではなく、本稿は医学的な責任を負うものではありません。診断・治療については専門の医療機関にお問い合わせください。 ↑ 怒られないおまじない どうもこんにちは、安田鋲太郎です(・ω・)ノ 依存症ビジネスについてさまざまに読んでゆく…

梅毒なみに怖れられていた凶悪な「オナニーの害毒」について、また社会秩序からみた性病とオナニーの背景にあるもの

かつてオナニーはおそろしい害をもたらすと信じられ、怖れられていた。 18世紀のローザンヌの医者であるティソの『オナニスム マスターベーションが引き起こす病気について』(1760)は、オナニーを「科学的に糾弾」する時代の扉を開いた。それまでは、オナ…

病因人間論 あるいは抵抗の産声のための少しだけ長い物語

※注意! 筆者は医療の専門家ではなく、また当記事は文化史エッセイに属するものであり医学的内容に責任を負うものではありません。治療に関する判断は専門機関にご相談ください。 α.はじめに 自分の病気の成立に自分自身が能動的に関与しているということを…

裸はなぜ恥ずかしいのか?/植物🌼動物🐵ヒト👩の羞恥心

どうもこんにちは、安田鋲太郎です(・ω・)ノ ウェーイ さて僕はたいへん研究熱心な性格なので、仕事や家事や読書の合間を縫って、いや元来ならそれらに充てるべき時間の一部まで割いて、精力的にAVをフィールドワークしています。 それでつねづね思うんですが、AV…

Web3はデジタル社会主義の到来か?

新春おめでとうございます。安田鋲太郎です(・ω・)ノ✨ 僕は春になるとテンションが上がって、まるで新入生のように様々な新しいことにチャレンジしたくなります。そんなわけで『WIRED』の最新号で最先端(?)の世の中の動向をキャッチしようかな、と買ってみ…

UMAと人類学的偽造の時代

さまざまなUMA(未確認動物)を眺めていると、意外な背景を持っている者がちらほらいる。政治、宗教、あるいは狂気……そういった人間社会の闇から、それらの生物はしばしばやってくる。たとえばジャージー・デビルとクエーカー教徒の内紛、天池水怪とSARS(20…

インターネットポルノ中毒と新世紀のヒューマニズム

洪水のように快楽が与えられている、と70年代生まれの僕には形容したくなる。 YouTube、ネットフリックス、オンラインポルノ……そうした様々な無料あるいはサブスクリプション・サービスに加え、その気になればスマホひとつで始められるマネーゲーム、あるい…

ボードゲームで闇堕ちするって何のこと?

雨宮純氏の『あなたを陰謀論者にする言葉』のなかで、一見無害に見える「ボードゲーム」が、じつは闇落ちのきっかけとなるというさわりを見て気になり、すぐに注文した。 いきなり余談だがこの本は新書なのに381頁もあって、標準的な枚数を大きく上回ってい…

『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』をなぜ勧めるのか

✨明けましておめでとうございます。安田鋲太郎です(・ω・)ノシ✨ 新年一発目はエリエザー・J・スタンバーグの『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』(原著2015/邦訳2017)という本を紹介します。 というのもこの本、去年読んだなかで総合的に見て一番良かった…

欠乏をどうするか(書評『いつも「時間がない」あなたに』)

いつも「時間がない」あなたに (ハヤカワ文庫NF) 作者:センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール,大田直子 早川書房 Amazon この本は書名から時間術みたいなハウツー本だと思われがちだが、実際には時間、金銭、人間関係などの「欠乏」(SCARCITY…

クリスマス前、昔の話を少しだけ

小学生の頃、うちは貧乏だった。 服は親戚からのお貰い、晩御飯はしばしばただイモを練って焼いたものだとか具のないうどん、家は「蹴ったら倒れそうな家」とからかわれるような家。 当時、ビックリマンシールが流行っていて、友達はみんなシールのコレクシ…

祭りなき夜に、僕たちは……

0.はじめに 「電車の一駅で読めるのが理想」とされるブログとしては場違いに長くなってしまった本稿は(それにしてもめておブログのこのへんの記事 生者に取り憑く死者 めておろぎーの他者論のーと - めておぶろぐ (hatenablog.com) に比べればずいぶんささ…

かぎりなく未解決に近い事件/名誉・評判について

延慶三年(1310)夏、法隆寺の蓮城院(れんじょういん)に強盗が押し入った。 当時はこうした場合に国の警察権力が解決するということは望めず、当事者である法隆寺が捜査に乗り出したが、誰が犯人なのか皆目わからないので、周辺十七の村に「落書起請」(らく…

コミュニケーションの「二つの成功モデル」

生活や業務のための最小限の「連絡」は別とし、およそ人間関係と呼びうるものは、友人も、恋人も、すべてコミュニケーションに始まりコミュニケーションに終わることを考えると、その巧拙が人生の浮沈に与える影響には甚大なものがあると言える。会話上手に…

最後の取引き(バーゲニング)について

キューブラーロスの『死ぬ瞬間』(もっとも、On Death and Dyingという原題は死ぬ「瞬間」というより「死とその過程」というほうが正しく、改訳版の訳者も指摘するように、ロスの基本的主張は「死とは長い過程であって特定の瞬間ではない」というものである…

離婚、脳死、遡及的決定

いっとき「告ハラ」(告白ハラスメント)という言葉が流行った。いやそれほど流行ってもいないのだが、ようは告白というのは相互の好意の最終確認であって、あくまで儀礼的なものであり、ダメもと、あるいは自己満足で想いのたけをぶちまけるのはハラスメン…

『D&D』は悪魔崇拝? アメリカ社会の「サタニスト恐怖」について

高校生の頃、『D&D』(ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ)はアメリカでは悪魔崇拝的なゲームではないかと疑いの目で見られていると聞いて、何故そんなことになるのかまったくわからなかった。当時の僕にはアメリカ社会のことなど知るよしもなかった。 「RPG…

イヌイットのラップバトル/モラルを担保するもの

聞くところによれば、イヌイットは揉め事があったとき、歌によって決着をつける習慣がつい最近まであったらしい。 人類学者であり言語学者でもあるピーター・ファーブの伝えるところによると、イヌイットの間で紛争が起こったさい、彼らは歌に乗せて交互に相…

集団妄想について

また「ハバナ症候群」が起こったようだ。 「ハバナ症候群」は2016年以降に報告されている、アメリカやカナダの外交官がキューバや中国といった赴任先で原因不明の体調不良に襲われるという事案だが、今度は在ドイツの米当局者が頭痛と吐き気を訴えているとい…

【閲覧注意】死体から物をつくる話

さて101本目のブログなのだけど、今回は猟奇的な内容になりそうなので、そういうのが苦手な方はただちに引き返すことをおすすめする。人類の所業について、とりわけ理性の錯乱、いや錯乱的な理性とでも呼ぶべきものについて知見を広めたい方は、お読みいただ…

サイバーグノーシス主義について、その他

幾人かの、このブログを読んでくれそうな人たちの顔を思い浮かべながら書いている。 じつは、今回でこのブログも百本目になるので、ちょっとした反省をまず書いておきたい。このブログは、少々かたちを整えすぎている。そのせいで書くのも読むのも堅苦しくな…

ヒトは自然体にはなれない

哲学というのは決して「みんながそう言っているから正しい」というものではなく、むしろその正反対のものであるはずなのだが、それでも流派のまったく違う哲学的著述のなかに奇妙な一致や類似を見出すことは、たいへん刺激的なことである。ましてやそれが、…

ファントムを待つ 空想虚言の一ケース

小田晋『精神鑑定ケースブック』のなかに、他のインパクトのある事例に混ざって、ほんの数行だけ素っ気なく触れられている事例がある。 一見他愛ない話なのでさっさと書いてしまうが、小田が精神鑑定をしたその被告人は、詐欺の再犯であった。彼は水道工事請…

あの子は統合失調症?(続・あの子はいまごろどうしてる)

さて先日のブログ(「あの子はいまごろどうしてる 〈出離〉と〈懲罰〉考」)では、どうしても日常の生活秩序から逸脱してしまう女の子のことを書いた。誰にでも心当たりがあるような、職も居場所も男も定まらないあの子。言動に突飛なところがあり、何をする…

王は裁かれうるか

エドワード・ウィルフレッド・フォードハムの『反対尋問 イギリスの裁判20例』という本をぱらぱら眺めていたところ、清教徒革命の帰結であるところのチャールズ一世の裁判について載っていた。 この本はタイトル通り、歴史に残る有名な"反対尋問"についての…