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いま人!ブログ

いまどき真面目に人生とか人文学を考えるブログ

トキメクとトキメカン

日常

 妻が読んでいた本をなにげにぱらぱら眺めていたら、驚くべきことが書いてあった。
 なんでも、世の中のものはすべて「ときめくもの」と「ときめかないもの」に二分されるというのだ。そして人は「ときめくもの」を選び「ときめかないもの」を遠ざけることによって、幸せになることが出来るというのである。
 たちまち僕の脳裏には、古代アステカ的などこかで光の神トキメクと暗黒神トキメカンが世界を二分する抗争を繰り広げている光景が浮かんだ。

 

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 トキメクとトキメカンの戦い(イメージです)


 たとえば、外にいてお昼になにを食べるか。「な○卯」にするか、それともちょっと遠くてちょっと高く、しばしば行列しているがとても美味しいパスタの店にするか。トキメク神とトキメカン神が頭の中で争っている。今こそトキメク神に加勢せよ! さすれば世界は栄えるであろう……。
 あるいは週末に読む本を買うときに、とても魅力的だが八千円するハードカバーと、八百円の新書とのあいだで迷う。トキメカンは誘惑する。そんなの読む根気ないっしょ。こっちの新書にしときなさいよ、佐○優ならそこそこ愉しめるはずだから。

 

 なんだ高いほうを買えって話じゃないか、金を使ってアドレナリンを分泌させてるだけじゃないか、という意見が出てきそうだがそれは半分正しい。
 では何が半分間違っているかというと、ただガバガバに金を使っても、人は刺激に慣れてエスカレートしてゆき、最後には破産するか無感動状態に陥ってしまう。そこには抑制が必要だということだ。これは道徳ではなくあくまで実践的な話である。下ネタではないが、何事も溜めておいて出したほうが良いのである。

 ここでも示唆を与えてくれるのは妻の(さっきとは別の)本だ。読んだのは昔だが、たしか「ピカピカキッチン大好き」とかそんな題名の本だった。日本人女性が海外に滞在したり白人の夫に嫁いだりして、フランス人はこうですよとかイギリス人はこうですよ、と上から目線で講釈を垂れるという大変有り難いタイプの御本で、畏まって押し頂いて読んだわけだが、とにかくそこには、あるドイツ人主婦が云ったというこんな言葉が出てくる。


 「わたしは貧乏だから、高いものしか買えないの」

 

 そう、ただ欲しいものを買いまくるのはトキメキ原理主義者であり、トキメキ☆テロリストだ。「あなたのハートを爆破予告ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*。」ってうるさいわ。

 かといって、妥協してトキメカンの眷族たる安物を身辺に侍らせてもいけない。「安物は買わずにある物でなんとかして、どうしても必要なものは高くても良い物を買う」、日本の諺でいうと「絹着てボロ着て木綿着ず」。最近思うんだけど、たいていの外来思想とか目新しい言説というのは、諺とか故事に同じものがあるんだよね。

  人生で大切なことはすべて妻の本から学んだ。

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