やすだ 😺びょうたろうのブログ(仮)

安田鋲太郎(ツイッターアカウント@visco110)のブログです。ブログ名考案中。

持続可能なブログについて

 春ごろブログを開設しようと思い立ち、二ヵ月で記事を十個ほど書き溜めた。最初にテーマを決め、必要な本を読んでノートにまとめそして書く。その間は昼夜没頭していた。その後満を持してブログを開設。開設後も常に十個程度のストックを保つつもりだった。じつにクレバーである。


 だが実際には、ブログ開設からストックがなくなるまでの数か月間、僕はまったく書けなかった。それは何故なのか。

 おそらくはこういうことだ。これからブログを開設する時期のモチベーションは誰でも、その後の全期間のなかで最も高い水準にある。したがって仕事以外のほとんどの時間をブログコンテンツ作成に充てても苦痛に感じない。けれどそんなことを続けられるはずがない。
 例えるならツイッタースマホゲームと同じようにブログは常駐ソフトみたいなものだ。長く続けたければ、あまり生活を圧迫するものであってはならない。

 

 ストックがあったことも書けない理由の一つになった。まあ人間は怠け者ということだろう。

 

 それから、誰でも経験すると思うのだが、いざブログを開設してみると勢い込んで書いた記事でも驚くほど反応がないものだ。ニコラス・G・カーのブログ「ラフ・タイプ」(http://www.roughtype.com)ですら、二〇〇五年の春にブログを開設してから夏までの間――「倫理のないウェブ2.0」がバズるまでは――読者は微々たるもので、本人いわく「ただぶつぶつ呟いているだけ」だったという。
 僕のブログは、ツイッターのフォロワーさんから好意的な感想が時々寄せられたのでまだ恵まれていた。だがそれも上記のようなやり方のモチベーションを支えるには至らなかった。

 

 *

 

 持続可能なブログとは、その人の生活に自然と溶け込むようなものでなければならない。言い換えれば「軽い」常駐ソフトでなければならない。

 持続可能な「個人」「無償」ブログは、というか…… 

 

 そう考えると、冒頭のようなやり方はそもそもがブログ的ではなかった。

 今でこそブログはツイッターなどと比べ「重い」メディアと見做されているが、出てきた当初は比較対象はあくまでウェブサイト(皆が「ホームページ」と呼んでいたあれ)だったので、それに比べてボタン一つで更新できて自動的にインデックスも作成してくれる、お手軽なメディアと見做されていたのである。


 もちろんブログで長大な論考をばんばん執筆していけない理由はない。可処分時間のほとんどをぶち込み続けても続けられる人は続けてくれればいい。だが少なくとも僕は、より持続可能な方法に切り替える必要があった。それはどのような方法か。

 

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 それは、ようするに「あらかじめテーマを決めて資料を読み込んで」というような方法を採らず、日々の生活のなかで見たもの、考えたことをそのつど書くというやり方だ。

 

 それでよいブログコンテンツが書けるだろうか? 書ける、と僕は思う。ただし無条件にではない。そのためには「よき生活」を送る必要があると思う。

 

 ここで云う「よき生活」とは何か。インスタ映えのような意味でいろんな場所へ行って話題になるような体験を搔き集めたり、神経症的に情報を吸収したり――といったものではない。まあ実際それで面白いブログを書いている人もいるだろうけど、僕にはそのようなテンションの持続は無理だし、なんだかそれ自体が目的になっているようで、理想とするものとは少し違う。

 

 それよりも「しっくり来る」「気持ちのいい」生活を目指したい。自分のリズムや基準を持っており、つねに落ち着いていて浮足立つことがない。かといって退屈はせず、好奇心・探究心はいつも高い水準にある――そういう生活のなかから、自然とよいブログコンテンツが生まれてくるのではないか。というか重要なのは生活の側であってブログはそれに愉しみを加えるものにすぎない。

 

 思い出すのだが、ある中世ヨーロッパの日記の著者は、無名でありながら偏見のない観察眼と素朴な文体で日々の見聞を綴り、そこに感じられる客観精神は近代市民を予感させる、と誰だったか歴史学者が評していた。これはかなり理想に近い。

 

 *

 

 ちょうど前回の更新でストックがなくなったところだ(正確にはあと一つあるがボツにしようと思っている)。また前回の記事(http://visco110.hatenablog.com/entry/2018/07/27/112012)が「ガジェット通信」(https://getnews.jp)に掲載されたので一時的にモチベーションが上がっている(本当はそういうことでやる気を出すよりも、フォロワーさんが時々感想をくれることでやる気を出すべきなのだが)。

 そんなわけで少し前から考えていたことを述べたが、今日からそんな感じで暮らし、そして書いてゆけたらなと思う。 

 

ウェブに夢見るバカ ―ネットで頭がいっぱいの人のための96章―

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ユリイカ2005年4月号 特集=ブログ作法 あるいはweblog戦記

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パリの住人の日記〈1〉1405‐1418

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