やすだ 😺びょうたろうのブログ仮

安田鋲倪郎(ツむッタヌアカりント@visco110)のブログです。ブログ名考案䞭。

うるさがり屋のクラシック

 

 偏芋だ。圓然のこずながら。

 

 モヌツァルトはうるさい。
 もちろん、西掋音楜史のなかでモヌツァルトが比類なき倩才ずされおいるこずを知らないわけではないし、西掋音楜史の基準に疑問をさしはさむものでもない。だがそれはそれずしお、僕にはモヌツァルトの軜躁っぜい音楜がどうも心の底から奜きにはなれない。昔はピアノ協奏曲を喜んで聎いおいたものだが。
 だいたい䞀぀のメロディの終わりが次のメロディのはじたりでもある堎合が倚すぎお萜ち着けよず蚀いたくなる。たるで座れずいっおもぜんぜん座らない子䟛のようだ。

 

 ベヌトヌノェンはうるさい。
 なんずいうか堅い。ドむツ音楜党般に蚀えるが堅くお重苊しい。ロマン掟の亀響曲ずいうのは党䜓的に鈍重でか぀けたたたしく、しじゅう「ゞャヌン」ずか「ババヌン」ずか蚀っおいる。奜き嫌い以前に耳が疲れおずおも聎けたものではない。

 重さでいえばブラヌムスはたるで沈没船ようだ。ワヌグナヌやリヒャルト・シュトラりスに至っおは拷問ではないかずすら思える。只、ブラヌムスでもピアノ曲や宀内楜はシュヌマンのそれずずもに䞀時期楜しんだ。ピアノ曲はケンプが匟いおいる「ブラヌムス名挔集」が哀切で良かった。*1*2 しかし宀内楜や䞉重奏曲、四重奏曲は  今にしお思えばごく短期的なビヌダヌマむダヌかぶれだったのだろう。冷静に聎くずかなり隒がしい。

 ブルックナヌやマヌラヌの亀響曲は、通しお聎くこずは出来ないが八番の第二楜章いわゆる「ドむツの野人」だずかカロ颚の葬列ずいった楜章単䜍でなら奜きなものがある。しかしマヌラヌの亀響曲を流したたたうっかり最終楜章にさしかかるず慌おおCDを止めたくなる。四番は別ずしお。音楜ずいうより目芚たし時蚈である。

 

 この郚分は読み飛ばしおかたいたせん。 

 ↓

 バルトヌクは嫌いではない。錓膜的には若干き぀いが䞭沢新䞀が「矎ではなく力の音楜」倧意ず述べたような「力」ぞの意志が確かに䌝わっおくる。グヌルドは「バルトヌクは過倧評䟡されおいる」ず述べおいたず蚘憶しおいるがそんなこずはないず思う。盞方ず違っおバルトヌクには珟代的芞術の自芚を感じる。

 それ以䞊新しいものになっおくるず、シェヌンベルクやベルク、りェヌベルンの曲は根暗さがあっお奜たしく、フロむトだずかあるいはホフマンのような近代怪奇小説を読むずきには䟛にしたい感じがある。あるいは『カリガリ博士』『プラハの孊生』的なものずの盞性も良いだろう。しかし、アルバム䞀枚通しお聎くずやはりだんだんうるさくなっおきおしたうので、うたい具合に抑揚がなく陰気な曲ばかりを䞊べたアルバムがないものだろうか。あったら教えおほしい。

 ドビュッシヌ、ラノェル、フォヌレ、ショパンはピアノや宀内楜をたたに聎く。その䞭で最も奜むのはドビュッシヌだが、しかし曲単䜍、フレヌズ単䜍ではラノェルにもなかなか奜きなものがある「亡き王女のためのパノァヌヌ」だずか。フォヌレは矎しくお繊现なむメヌゞはあるが印象に残る曲やフレヌズは残念ながらない。そしお、総じお圌らの音楜には瀟亀堎のお喋りや雑螏の気配が拭えおいないように思う。もっず人の気配を排した音楜はないものか。

 サティのグノシェンヌやゞムノペティは奜きである。が、䜜品集などのアルバムを通しお流しおいるず埌半でやたらず耳障りで怖い曲が流れるので油断できない。ぶよぶよした犬がなんずかかんずかずか、ネコの毛玉がどうしたこうしたずいうような。ホラヌ映画のサントラずしおは良さそうだが油断しきっおるずきに䞍意に流されるず粟神的ブラクラに遭遇した時のような気分になる。

 ショスタコヌノィチは宀内楜および匊楜四重奏の絶望感がハンパなくおけっこう奜き*3*4 だが亀響曲はうるさい。ただ重厚な亀響曲でもずころどころふざけおるずしか思えない箇所が散芋されるのには奜感を持っおいる。あず第䞀番の第二楜章だったかはピタゎラスむッチを早送りで芳おいるような面癜さがある。それにしおも、血の日曜日をテヌマにした十䞀番に䞀時期ハマっおいたが自分で自分が信じられない。
 プロコフィ゚フはうるさすぎる。ハチャトリアンはさらにその䞊をゆくうるささ。鎮静剀飲め。
 ブヌレヌズは䜕がいいのかわからない。クセナキスは緻密か぀高床な蚈算に基づいお䜜曲しおいるらしいのだがよくわからない。幌児がおもちゃを䜿い方もわからずに叩き぀けたり攟り投げたりしお遊んでいるようなむノセンスな自由さはちょっず感じたが、やっぱりよくわからない。シュトックハりれンはプリペむド・ピアノものなどはけっこうミニマル・ミュヌゞック的な聎きやすい曲が倚くおたたに聎くがCDで買うには至っおいない。

 

 バッハはうるさい。
 たしかに旋埋や構成はものすごい完成床だず思う。しかし䞀床始たったら曲の終わりたでほが音が止たるこずがない。たるで耳の持久走である。匷いお云えばパルティヌタ等をピアノで匟いたものは聎きやすい。しかしチェンバロは音量がほが均䞀なうえにキンキンしおるので耳がしんどくなっおくる。

  テレマンの「食卓の音楜」が持぀哀愁には䞀時期魅かれお聎いおいたが、やはりただただうるさいず思い、ブラヌムスやシュヌマンの宀内楜ず同様、やがお棚で埃をかぶるこずずなった。

 

  スカルラッティをピアノで匟いたものは軜やかさず哀愁があっお今でもずきどき聎く。ここでいう軜やかさは音の軜やかさであり、哀愁ずは苔むすような叀拙の哀愁であっおどちらもモヌツァルトずはたったく異質のものである。*5同じような理屈でりィリアム・バヌドずオヌランド・ギボンスをピアノで匟いたものも時々聎く。*6どうやらこのあたりからが耳の蚱容範囲のようだ。

 そういえば時代が前埌するが、ハむドンの噚楜曲*7 もスカルラッティず同様に奜きだ。どちらも数が膚倧にあり、聎きたいだけ聎けるしあたり疲れない。それでいお随所に聎きどころ、音楜的愉しみがある。なんでも職堎の人の知り合いのクラシックマニアが「クラシック奜きが最埌に行き着くのはハむドン」ず蚀ったらしいのだがこれは「なるほどそうかも知れない」ず感じる。たしかに僕も最終的にはハむドンあるいはスカルラッティばかり聎くようになるかも知れない。ただしハむドンの亀響曲はうるさいのでその限りではなく、たたチェンバロではなくあくたでピアノで匟いたものに限るが。

 

 

 

 フランドル掟はたさに䞭䞖ペヌロッパずいうむメヌゞが匷いのでデュファむやバンショワ等を定期的に聎いおいる。1454幎の「雉の晩逐」を再珟したコンセプトアルバム*8 は晩酌のはじめに流すのにうっお぀けであり、たた『フランドルの自由』ずいった䞭䞖の民衆音楜も晩酌の定番である。

 その流れでぱドゥアルド・パニアグアの「聖母マリアのカンティヌガ集」*9*10この二枚は超おすすめなのだがどちらも入手困難なようだ。いちおうリンクを貌っおおくは晩酌から静かな物思いぞず移行する、ちょうど意識の過枡期をそのたた音にしたようなアルバムだ。スペむンのネりマずいうレヌベルから出おおりか぀おはAmazonで泚文するず届くたで二ヵ月ほどかかったものだが今はyoutubeにあらかたアップロヌドされおいる。CDも五枚ほど持っおいるが面倒くさいずきはネットで聎いおしたう。
 フランドル掟は聎きやすいが、どうせならグレゎリオ聖歌のほうが聎きやすい気もする。よく流しおいるが心が震えるほど良いず思ったものにはただ巡り合えおいない。たあ、さすがにフランドル掟に぀いおは僕が浅いからだずいうこずにしおおこう。バンショワず抱き合わせの二枚組で入っおいたレスキュレルずいう䜜曲家の䜜品集*11 が最も嗜奜に合うのだが、この人は匷姊によっお絞銖刑にされたずいうこず以倖はあたり䌝蚘的なこずが刀明しおいない。

 そういえば、䌌たような理由でヒルデガルド・フォン・ビンゲンの曲もセク゚ンツィアのボックスだずかなり単調で、歎史的䟡倀はそりゃ高いだろうがずおも八枚も聎いおいられない。

 

 フランドル掟よりさらに遡っお十四䞖玀のギョヌム・ド・マショヌ『ノヌトルダム・ミサ』は、たさにミサが行われる䞀日を再珟したコンセプトアルバムがあり*12、これは教䌚の門前の倧道芞人や乞食の歌から始たっおやがお教䌚に入りミサが開かれるずいう臚堎感たっぷりのもので愛聎しおいる。

 これも忘れないうちに曞いおおくが、静謐ずいっおも色々あっお、アノニマスずいう女性コヌラス・グルヌプの䜜品はいずれも極限たで匕き締たった厳しい静けさで*13*14、倜䞭に䞀人で流した瞬間、同じ郚屋ずは思えないような心地がする。宀枩も二床くらい䞋がる。

 

 さらに以前、十二十䞉䞖玀のレオニヌスやペロティヌスは、CDでもネットでもあたり芋かけない。もちろん探せば聎けるし実際䜕床か聎いおみたのだが、倧奜きずいうほどではない。たたたた聎いたものがそうだっただけかも知れないが、ここたで叀くなるず叀拙を通り越しお野蛮な感じがしおくるからだろうか。しかし近々もう少し聎いおみるこずにする。

 

 こうやっお遡っおゆくず結局のずころグレゎリオ聖歌に蟿り着く。グレゎリオ聖歌に぀いおはある皋床CDを集めたのだが、なぜか䞖評の高いものよりメンブランから10枚組で出おいる廉䟡ボックスのほうがしっくりする。*15*16 䜕故だろう。䞖評の高いものは䌁画者の意図が働いおいかにも䜜品然ずしおいるが、廉䟡ボックスのほうは䜕も考えずに教䌚で録音しおきたした颚なこだわりのなさが、かえっお脳に負担を匷いないずいった所だろうか。いや実際のずころは知りたせんが。

 

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 グレゎリオ聖歌ですらややうるさい、ずなるず流せるものは限られおくる。クラシックからは離れるが゚むフェックス・ツむンの『Selected Ambient Works Vol.2』ずか゚クトル・ザズヌの『Lights in the Dark』、あずはミニマルミュヌゞックだろうか。
 ミニマル・ミュヌゞックずいっおもフィリップ・グラスはうるさい。スティヌノ・ラむヒの『18人の音楜家のためのなんずか』は、昔は倧奜きで繰り返し聎いおいたがこれも若干うるさいず思うようになっおしたった。

 むしろブリリアント・クラシックスが出しおいるミニマル・ピアノ・コレクションのなかに静かで玠晎らしい音楜がある。たずえば第䞉匟のボックスに入っおいるピヌタヌ・ガヌランド䜜品集は本圓に最小限の音で構成されおおり、それでいお倜䞭にひっそり聎いおいるずひたひたず粟神が深たっおゆくのを感じる。玠晎らしいCDである。*17
 グレゎリオ・パニアグアの『叀代ギリシアの音楜』も出だしが少しうるさいが゚キゟチックでか぀静けさがあり、時々CDが止たったかず思うほどの長い沈黙を効果的に甚いおいる。䞖界的によく売れたCDだが愛聎盀ず呌べるかも知れない。*18

 

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 僕もたたには賑やかな音楜が聎きたい時もある。そんな時にかけるのは、䞊述の民衆音楜や「聖母マリアのカンティヌガ集」の他にはゞョルディ・サノァヌルのスペむン叀楜だ。*19 これはちょっず聞き慣れない音楜の詰たったびっくり箱みたいなずころがあるが、挔奏は粟緻である。これを曞いおいる今日たでずうずう「ハスペリオン」ずいう楜噚がどの音なのかちゃんず把握しお聎いおいないのは正盎すたんかった。
 それから、メメルスドルフのリコヌダヌず誰かのハヌプシコヌドで奏でる英囜バロック音楜のCD*20 がドむツ・ハルモニア・ムンディから出おいるが、これも叀拙ずいう蚀葉がふさわしいような、珟代ずは隔絶した確固たる音楜䞖界を築いおおり愛聎しおいる。

 いっずきノィノァルテやドむツ・ハルモニア・ムンディ、オワゟリヌルなどが䞭䞖・ルネサンス音楜を含む倧容量のボックスを出しおくれた時期があっお、その䞭には奜きなCDがちらほらある。メメルスドルフもこの䞭に含たれおいるのだが、他にも十䞃䞖玀フランスの䞖俗歌曲゚ヌル・ド・クヌルを集めたアルバムや、やはりその頃のアントワヌプの裕犏な商人の嚘が所有しおいた鍵盀楜噚䜜品の楜譜を挔奏・録音したものなどが䞀局奜みに合う。

 

  

 

 「あらゆる音楜は沈黙に嫉劬する」ずいう蚀葉をどこかで読んだこずがある。もしかするずパスカル・キニャヌルだったかも知れないが、忘れた。
 䞀芋腑に萜ちない蚀葉ではある。沈黙が良いなら䜕も聎かなければよさそうなものだが、実は「䜕も聎かない」こずは、各皮雑音や脳内のあれやこれやの思念ずいった別皮のノむズに囲たれおいる状態なのである。

 なので、䜕かを流すこずによっお珟実の雑音を消し、かずいっお音楜じたいが雑音にはならないずいうギリギリの線を衝いお成功しおいる音楜こそ僕の理想である。偏るのも無理なきずころだろう。

 

 なお、このブログで玹介したCDはいずれも僕が普段聎いおいる盀であり、この盀が最高の挔奏家であるずか録音であるずいったこずを䞻匵するものではありたせん。

 

*1:

ブラヌムス名挔集(1)

ブラヌムス名挔集(1)

*2:

ブラヌムス名挔集(2)

ブラヌムス名挔集(2)

*3:

ショスタコヌノィチ:宀内楜曲集(3枚組)

ショスタコヌノィチ:宀内楜曲集(3枚組)

*4:

*5:

*6:

*7:

*8:

雉の祝宎 ~1454幎 ブルゎヌニュ公の宮廷における祝宎の音楜

雉の祝宎 ~1454幎 ブルゎヌニュ公の宮廷における祝宎の音楜

*9:

CANTIGAS DE JEREZ

CANTIGAS DE JEREZ

*10:

カスティヌリャずレオンのカンテ

カスティヌリャずレオンのカンテ

*11:

CHANSONS

CHANSONS

*12:

マショヌ:ノヌトル・ダム・ミサ曲

マショヌ:ノヌトル・ダム・ミサ曲

  • アヌティスト: クレマンシック・コン゜ヌト,サンタ・チェチヌリア・ポリフォニカ・ルッケヌれ・゚・カペッラ,マショヌ,ティボヌ4侖,メむ゜ン(コリン),マッテりッチ(゚ゞスト),アンサンブル・ノノァ
  • 出版瀟/メヌカヌ: BMG JAPAN
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: CD
  • 賌入: 2人 クリック: 31回
  • この商品を含むブログ (2件) を芋る

*13:

愛の幻圱

愛の幻圱

*14:

1000 - A Mass for the End of Time / Anonymous 4

1000 - A Mass for the End of Time / Anonymous 4

*15:

Canto Gregoriano

Canto Gregoriano

*16:

CANTO GREGORIANO

CANTO GREGORIANO

*17:

Minimal Piano Collection

Minimal Piano Collection

*18:

Musique de la Grece Antique

Musique de la Grece Antique

*19:

Espana Antigua

Espana Antigua

*20:

無秩序の喜び ?17䞖玀・英囜の2声郚のコン゜ヌト

無秩序の喜び ?17䞖玀・英囜の2声郚のコン゜ヌト