やすだ 😺びょうたろうのブログ(仮)

安田鋲太郎(ツイッターアカウント@visco110)のブログです。ブログ名考案中。

オカルト・怪異・超常現象

病因人間論 あるいは抵抗の産声のための少しだけ長い物語

※注意! 筆者は医療の専門家ではなく、また当記事は文化史エッセイに属するものであり医学的内容に責任を負うものではありません。治療に関する判断は専門機関にご相談ください。 α.はじめに 自分の病気の成立に自分自身が能動的に関与しているということを…

UMAと人類学的偽造の時代

さまざまなUMA(未確認動物)を眺めていると、意外な背景を持っている者がちらほらいる。政治、宗教、あるいは狂気……そういった人間社会の闇から、それらの生物はしばしばやってくる。たとえばジャージー・デビルとクエーカー教徒の内紛、天池水怪とSARS(20…

『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』をなぜ勧めるのか

✨明けましておめでとうございます。安田鋲太郎です(・ω・)ノシ✨ 新年一発目はエリエザー・J・スタンバーグの『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』(原著2015/邦訳2017)という本を紹介します。 というのもこの本、去年読んだなかで総合的に見て一番良かった…

ファントムを待つ 空想虚言の一ケース

小田晋『精神鑑定ケースブック』のなかに、他のインパクトのある事例に混ざって、ほんの数行だけ素っ気なく触れられている事例がある。 一見他愛ない話なのでさっさと書いてしまうが、小田が精神鑑定をしたその被告人は、詐欺の再犯であった。彼は水道工事請…

愛の挫折と扁桃炎

ヴィクトーア・フォン・ヴァイツゼッカーの『病因論研究』、というとなにやら小難しそうな書名だが、実際に読んでみると、さほど難しくはない代わりに「いったい自分は何を読まされているんだ……?」というような、ひじょうに困惑した気持ちになる。ちょっと…

あの子はいまごろどうしてる 〈出離〉と〈懲罰〉考

まず、怖い話をひとつ。 時は昭和四十年頃、所は八王子。鈴村喜平さんの娘で当時高校一年生だった喜代子さんが行方不明になった。 それからしばらく後、鈴村家では奇妙なことが起こるようになった。頻繁に石鹸がなくなるのである。誰かが盗んでゆくのだろう…

イライザへの言及

【ここは読み飛ばしてかまいません】 雑多な本を読み漁っていると、それぞれ別個の本が、同じ話やきわめて似通った話をしているのにしばしば出くわす。当ブログはそうした「あっこの話は別の本でも見たぞ」という符合から生み出されることが多いのだが、なぜ…

展示される怪奇

ナイジェル・ブランデルとロジャー・ボアの共著『世界怪奇実話集』は、なつかしの教養文庫「ワールド・グレーティスト・シリーズ」に収められ、ネットがない頃の子供たちを震えあがらせた怪奇読み物のうちの一冊である。今となってはどことなく牧歌的な幽霊…

空からお金が降ってきた? 幼少時のファフロツキーズの正体

あれは小学生の頃だ。 今は取り壊されてもうない生家の、軒先の畑で遊んでいた時、ふと見知らぬコインを拾った。それは銀色で穴がなく、大きさは百円玉程度だったが、僕が知っている百円玉とも、他のどの貨幣とも違っていた。 ふとあたりを捜すと、そこかし…

ピラミッド・パワーと蚤

一九七〇年代の「ピラミッド・パワー」ブームについて、偽科学批判で知られるテレンス・ハインズは次のように回想している。 ピラミッド・パワーとは、ピラミッドの形自体が魔術的であり、神秘的なエネルギーとパワーで満たされている、という考えだ。トース…

「血の窓」、あるいは人の行き違いについて

明治十四、五年の頃、河内の生駒山の麓の住道(すみのどう)村に、辰造とお留という若くて仲睦まじい夫婦がいた。ところが夫の辰造は眼を患い、仕事に就けなくなってしまった。 生活は貧窮し、やむなくお留は奉公に出る決心をした。こうして二人はしばらくの…

夜の鮮烈さを以て……

恐れる必要などない。他人のブログを読んだところで何も変わりはしないのだから。 休み明けの通勤、駅に向かう途中にふと超能力が使えたら、たとえば時間を巻き戻せる能力があったならば、すべてのミス、それも仕事だけではなく人間関係上のトラブルや失敗し…

死んだ母から曽祖父が生まれた話

僕の曽祖父には伝説がある。それによれば、曽祖父は一度死んで生き返った母によって出産されたのだという。そして生き返った母から生まれたため、兄たちがいるにもかかわらず一から数えなおして「一郎」という名前になったというのだ。 なるほど明治の話なの…