やすだ 😺びょうたろうのブログ(仮)

安田鋲太郎(ツイッターアカウント@visco110)のブログです。ブログ名考案中。

心理学・精神分析

多重人格、心的外傷、脳内麻薬、自傷行為

※筆者は医療の専門家ではなく、本稿は医学的な責任を負うものではありません。診断・治療については専門の医療機関にお問い合わせください。 ↑ 怒られないおまじない どうもこんにちは、安田鋲太郎です(・ω・)ノ 依存症ビジネスについてさまざまに読んでゆく…

病因人間論 あるいは抵抗の産声のための少しだけ長い物語

※注意! 筆者は医療の専門家ではなく、また当記事は文化史エッセイに属するものであり医学的内容に責任を負うものではありません。治療に関する判断は専門機関にご相談ください。 α.はじめに 自分の病気の成立に自分自身が能動的に関与しているということを…

欠乏をどうするか(書評『いつも「時間がない」あなたに』)

いつも「時間がない」あなたに (ハヤカワ文庫NF) 作者:センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール,大田直子 早川書房 Amazon この本は書名から時間術みたいなハウツー本だと思われがちだが、実際には時間、金銭、人間関係などの「欠乏」(SCARCITY…

コミュニケーションの「二つの成功モデル」

生活や業務のための最小限の「連絡」は別とし、およそ人間関係と呼びうるものは、友人も、恋人も、すべてコミュニケーションに始まりコミュニケーションに終わることを考えると、その巧拙が人生の浮沈に与える影響には甚大なものがあると言える。会話上手に…

最後の取引き(バーゲニング)について

キューブラーロスの『死ぬ瞬間』(もっとも、On Death and Dyingという原題は死ぬ「瞬間」というより「死とその過程」というほうが正しく、改訳版の訳者も指摘するように、ロスの基本的主張は「死とは長い過程であって特定の瞬間ではない」というものである…

集団妄想について

また「ハバナ症候群」が起こったようだ。 「ハバナ症候群」は2016年以降に報告されている、アメリカやカナダの外交官がキューバや中国といった赴任先で原因不明の体調不良に襲われるという事案だが、今度は在ドイツの米当局者が頭痛と吐き気を訴えているとい…

ファントムを待つ 空想虚言の一ケース

小田晋『精神鑑定ケースブック』のなかに、他のインパクトのある事例に混ざって、ほんの数行だけ素っ気なく触れられている事例がある。 一見他愛ない話なのでさっさと書いてしまうが、小田が精神鑑定をしたその被告人は、詐欺の再犯であった。彼は水道工事請…

あの子は統合失調症?(続・あの子はいまごろどうしてる)

さて先日のブログ(「あの子はいまごろどうしてる 〈出離〉と〈懲罰〉考」)では、どうしても日常の生活秩序から逸脱してしまう女の子のことを書いた。誰にでも心当たりがあるような、職も居場所も男も定まらないあの子。言動に突飛なところがあり、何をする…

愛の挫折と扁桃炎

ヴィクトーア・フォン・ヴァイツゼッカーの『病因論研究』、というとなにやら小難しそうな書名だが、実際に読んでみると、さほど難しくはない代わりに「いったい自分は何を読まされているんだ……?」というような、ひじょうに困惑した気持ちになる。ちょっと…

予言、第六感、虫の報せについて

かつてロンドンに有名な手相見の女がいた。なんでも、よく当たるというのでかのウィンストン・チャーチルも彼女から助言をもらっていたという。そこで作家オスバート・シットウェルの友人であった士官たちが手相を見てもらったところ、彼女はなぜか突然、彼…

誰もが幻聴を聞くことについて

統合失調症、といえば妄想や幻覚を主な症状とする精神疾患である。長年にわたって日本を代表する精神病理学者であった中井久夫は、この統合失調症の回復期にある患者が週に一、二回、数十分から二、三時間ほど妄想や幻覚を"軽度再燃"してしまうのを何度も診…

ヒポコンデリー/人体の脆さと死の運命

※注意! 本稿は心身の疾病について医学的な責任を負うものではありません。あくまでエッセイとしてお読みください。 アルガン「ピュルゴン先生が申されるには、用心しなくなったらたった三日でお陀仏だと」 (モリエール『病は気から』) 心気症、ヒポコンデ…

心はスクリーンのように出来ている

ジョルジュ・デュアメルは『未来生活の情景』において、友人に無理矢理映画を観させられたときの不愉快な体験について記している。だが、彼にとって映画が愉快だったか不愉快だったかはさしあたって問題ではない。興味深いのは、彼が次のように述べているこ…

さよなら救世主(;ω;)ノシ

メサイア・コンプレックスはユング心理学の用語だ。そして多くの概念がそうであるように狭義と広義があり、ここではジム・ジョーンズ、あるいは麻原彰晃がそうであったかも知れないような狭義の、誇大妄想的なメサコンは扱わない。 広義のメサイア・コンプレ…

ポジティブ・シンキングってどうなの?

「今回はポジティブ・シンキングについて肯定側と否定側に分かれて仮想討論するってことで、あたしは否定側ってことになってるんだけど、ハッキリ言って妥協してお茶を濁す気はないからね。っていうかバーバラ・エーレンライクのポジシン批判で尽きてるんじ…

「病は気から」って本当ですか?

【免責事項】本稿は個人的見解を述べたものであり、医学的な記述について責任を負うものではありません。本人様、ご家族・知人様の疾病につきましては、専門的な医療機関や信頼できる情報ソースに基づいてご判断ください。 1957年、心理学者ブルーノ・クロフ…

「出会いそこない」だけが人生だ

繰り返し観る夢は、その人の人生における過去の「出会いそこない」であるというラカン派の考えを読んで、「ああ、やはりな」と思った。 だがそれだけではない。そうやって繰り返し観る夢こそが、起きているときの「現実」以上に真の現実の感触を与える、いわ…

夢の意味について

夢分析には学生の頃から興味を抱いてきたが、じつに数多くの流派が存在する世界であり、また本質的に非アカデミックなところがあるように思う。手元のいくつかの本から著者の経歴を抜き出しても、学位を持ち、何らかの大学との繋がりを持っているものの、基…

この記事もモテるためである(『すべてはモテるためである』書評)

すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂) 作者: 二村ヒトシ,青木光恵 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2012/12/02 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 125回 この商品を含むブログ (36件) を見る 0.はじめに 1.二村ヒトシはフロイト派であ…

殺人現場の食卓/反動形成について

たとえばサスペンス番組で、夫が帰宅したときテーブルにご馳走が並べられていて、夫が上着を脱ぎながら「お、今夜は豪勢だな。なにかあった?」と妻に尋ねたならば、視聴者はかすかに不吉な予感がするだろう。さらに妻が「たまにはこういうのもいいでしょ」…

真実の夢、共有される夢、眠りなき夢

J-B・ポンタリス『魅きつける力』は一九九〇年、リヨン近郊のトマス・モア文化センターで行われた同氏の講演を元に加筆修正された比較的薄めの本である。そのなかで、書名にもなっている夢の牽引力 force d attraction (すなわち「魅きつける力」)について…