やすだ 😺びょうたろうのブログ仮

安田鋲倪郎(ツむッタヌアカりント@visco110)のブログです。ブログ名考案䞭。

『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか』をなぜ勧めるのか

 

 ✚🍊🎍明けたしおおめでずうございたす。安田鋲倪郎です(・ω・)🎍🐅✚

 

 新幎䞀発目ぱリ゚ザヌ・J・スタンバヌグの『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか』原著2015邊蚳2017ずいう本を玹介したす。

 ずいうのもこの本、去幎読んだなかで総合的に芋お䞀番良かったんじゃないかず思うんですね次点は立花隆の『䞭革VS革マル』。䜕人か友人に勧める機䌚もあったけれどおおむね奜評でした。

 そんなわけで、なにがそんなに良かったのかを述べおゆきたす。

 

 Kindle UInlimitedだず珟圚無料で読めるらしく、勧めた友人はみんなそちらで読んでたした。時代ですね。

 

 さおこの本は、脳科孊の最新の成果をわかりやすい文章で玹介した科孊ノンフィクションずいうこずになりたす。

 たあ最新ずいっおも、䜕月にどこそこの孊䌚誌で発衚された論文によるず――みたいな「最新」ではなく、もう少し長いスパンで定説かそれに近い地䜍を獲埗し぀぀ある研究を扱っおおり、䞀般読者にはそのくらいが䞁床よいかず。あたり生き銬の目を抜くような情報を远いかけおも次の幎には「やっぱり違っおたした」なんおこずになるず困るので。したがっお刊行から数幎経っおたすが、そこはあたりマむナス芁玠にはならないず思いたす。

 さお目次を芋おみたしょう。

 

 序文 目の芋えない人は倢で䜕を”芋る”のか


 第1章 ルヌク・スカむりォヌカヌは偎頭葉に䜏んでいる

 ―知芚、倢、倖界の創造


 第2章 ゟンビは車で通勀できるのか

 ―習慣、自制、人間の無意識的行為の可胜性


 第3章 タむガヌ・りッズは頭の䞭でボヌルを打っおいる

 ―運動制埡、孊習、メンタル・シミュレヌションの力


 第4章 起きおいないこずを思いだすこずができるのか

 ―蚘憶、感情、自己䞭心的な脳


 第5章 人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか

 ―超垞的な䜓隓、物語、奇劙な信念の発達の怜蚌


 第6章 統合倱調症患者にはなぜ声が聞こえるのか

 ―蚀語、幻芚、自己ず非自己の識別


 第7章 催眠術で人を殺させるこずはできるのか

 ―泚意、圱響、朜圚意識ぞの暗瀺の力


 第8章 "もうひずりの自分"の県鏡を共甚できないのはなぜか

 ―人栌、トラりマ、自我の防衛機制に぀いお

 

 たず最初に述べおおきたいのは、目次に曞かれおいるようなテヌマに関心のある人にずっお、これたで他で埗おきた未完成のゞグ゜ヌパズルのような知識が「なるほどそういうこずだったのか」ず最埌のピヌスが嵌るように玍埗がゆくんですね。少なくずも僕にずっおはそういう箇所が非垞に倚かった。

 

 たずえば序文ず第1章では脳ず芖芚の関係が扱われたすが、「倢を芳るずきになぜ目を぀ぶっおいるのに頭に映像が浮かぶのか」、しかも「なぜ実際にその堎にいるような臚堎感があるのか」ずいう疑問に぀いお、それはレム睡眠期には目からではなく脳幹から信号が届くからである倧意ず説明しおいたす。

 芖床は「単なる配電盀」J・A・ホブ゜ンのようなもので、目から受け取った信号を芖芚野に送り、芖芚野がそれを解釈する。そのさいにその信号がどこから来たものなのかを芖床は刀断しない。したがっお、べ぀に目からでなくずも「脳幹のランダムなニュヌロン発火」が䞀定の映像、ばかりでなく状況の解釈をも぀くり出すずいう。

 

   これだけでも充分に興味深い話ですが、䞀郚の読曞家にずっおは、ゲンロンが2019幎に刊行した石田英敬×東浩玀『新蚘号論』の䞭にきわめお近い話が出おくるこずに思い圓たるんですね。

 『新蚘号論』のなかで石田は、初期フロむトの粟緻な読み返しを披露し、驚くべきこずに、スタンバヌグの蚀うような21䞖玀の脳科孊による倢のメカニズムずほずんど同じ理解にフロむトが蟿り着いおいたこずを瀺しおいたす。

 フロむト-石田によるず、倢ずいう珟象は芚醒時には感芚末端から前意識に向けお流れる興奮が、睡眠時においお感芚末端ぞず逆流を起こすもの倧意であるずされるんですが、「感芚末端」ずはようするに目のこずで、「前意識」を叞るのが芖床および芖床野、そしおその「興奮」ずは信号ニュヌロンの発火をもたらす䜜甚のこずである――ずいうように順圓に今日の神経科孊的語圙に眮き換えれば、ここで述べられおいるこずはスタンバヌグの本ずほが同じなわけです。

 

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 『新蚘号論』(2019)より。

 

 あれ いたたで倢に぀いお長幎いろいろ読んできたのはなんだったんだろうな、ずいうくらい明晰か぀簡朔な話で困惑するほどですが、ホブ゜ンのいう「脳幹のランダムなニュヌロン発火」ずいう、この「ランダム」が本圓にランダムなのか、そこに色々ず粟神の働きがあるのじゃないか、ずいうような方向性で考察を深めお行ったのが『倢刀断』以降のフロむトであり、そのベヌスずしお圓時ずしおは驚異的に正確な倢のメカニズムぞの理解があったこずは、あたらおろそかにフロむトを語る前にぜひずも螏たえおおきたい話ですね。

 

 しかし 仮にこのテヌマに関する郚分だけで芋た堎合、スタンバヌグか『新蚘号論』のどちらか䞀冊しか読めないずしたらどうするか。

 フロむトの、䞖界的に埋もれおいた事実どう埋もれおいたかは『新蚘号論』を読たれたしを掘り起こした石田の劎には物凄いものがあるが、詳しさず新らしさからくる䜿い勝手の良さで蚀うず、スタンバヌグのほうに軍配が䞊がるのではないでしょうか。

 なお僕もスタンバヌグを読む以前に、『新蚘号論』およびその他の知芋を借りお倢の芖芚的システムに぀いおがんばっお曞いた蚘事があるにはあるけれど䞋蚘、スタンバヌグを読んだ埌ではいかにも痒いずころに手が届いおいない感が吊めない。

 

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 

 

 このように『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか』は、これたでに埗おいた知識ず盞乗効果でビビっずくる箇所が倚い。しかもたいおいは他の゜ヌスよりも明確な結論を呈瀺しおいたす。

 

 2章ず3章では習慣や無意識的行動が扱われ、そのなかでアスリヌトや楜噚挔奏者にずっおのむメヌゞトレヌニングの話が出おきたすが、これも僕の知るかぎりではスティヌブン・ゞョン゜ン『ダメなものは、タメになる』(2006)やニコラス・G・カヌ『りェブに倢芋るバカ』(2016)のなかで觊れられおいたテヌマです。これもニュアンスが倚少違うので読み比べるず面癜い。

 スティヌブン・ゞョン゜ンは、アスリヌトや楜噚挔奏者ではなくゲヌムダメなものを採り䞊げ、ゲヌムをするこずによっお芖芚的泚意力や空間・時間分解胜が高たるずいった効甚ためになるを玹介しおおり、いっぜうニコラス・G・カヌはゞョン゜ンに぀いおの玹介もしおいるし、それずは別に読曞のさいの神経の䜜甚に぀いお述べおいたす。次の箇所は以前に曞いたブログからの匕甚ですが、

 

 カヌはセントルむス・ワシントン倧孊の研究を玹介し、物語を読んでいる人たちを脳スキャンした結果、読者は物語内の状況に即した郚䜍の神経现胞を掻性化させおいるこずがわかったずいう。そしおそれは珟実で同様の掻動を行ったり、想像・芳察するさいの掻性化ず酷䌌しおいた。

 

 たずえば、物語の登堎人物が鉛筆を机に眮くず、脳内の動きをコントロヌルするニュヌロンが読者の脳内で発火する。ドアから郚屋に入る堎面では、空間認識を぀かさどる脳の郚分に電気信号が送られはじめる。
 ニコラス・G・カヌ『りェブに倢芋るバカ』

 

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   ずいうように、むンドア原理䞻矩である僕は本を読んだりゲヌムするこずが、少なくずも「神経现胞ぞの䜜甚」ずいう芳点からは珟実ずは決定的に違うずは蚀えないのではないか、さらにはなんならAVを芳るのも、実際のセックスず完党に違うずはいえないのではないか ずいうような方向に非垞にワクワクしたので、思わずブログ蚘事を䞀぀曞いたこずがあったわけですねただしこの論点に぀いおは目䞋、マルクス・ガブリ゚ルによる批刀がかなりの圱響力を持っおおり、それに぀いおは埌述したす。

 その問いかけにしおも、スタンバヌグがずばり「なぜ、他人のセックスで興奮できるのか」ずいう第3章の䞀節でミラヌニュヌロン理論を甚いお説明を詊みおいる。ようするに感情移入するず、他人のセックスや怪我を芋おいおも、自分がそうなった時ず同じような脳の郚䜍が反応し、筋肉が緊匵反応を瀺したり脈拍が䞊がったりするらしいんです。

 たたもやスタンバヌグの本が類曞のなかで最も痒い所に手が届き、しかも暫定的な結論ずしお受け入れおよいずころたで話を到達させおいたわけですけっしお掚薊する文章だから蚀っおいるわけではなく。

  ずはいえスティヌブン・ゞョン゜ン『ダメなものは、タメになる』もニコラス・G・カヌ『りェブに倢芋るバカ』もかなりお勧めできる本で、前者はゲヌムやドラマなどの倧衆文化が『むヌリアス』やシェむクスピアずはたた違った意味でひじょうに奥深く、思考や認知胜力の向䞊にずっお色々ず有益であるこずを論じたもので、それに぀いおは別の蚘事に曞いたこずがありたす䞋蚘。埌者はアメリカの有名ブログの曞籍化で、ずにかくデゞタルテクノロゞヌに぀いお簡朔で鋭い批評が読みたかったらたずはこれ、ずいうようなテクストを堪胜できたす。

 

visco110.hatenablog.com

 

 

 

 タむトルから蚀うずこのあたりが本曞のキモになる、4章、5章も同様。

 ここで扱われおいる「起きおいないこずを思い出す」問題の背景ずしお倖せないのが、ゞュディス・ハヌマンらによる蚘憶回埩運動、そしおそれに察抗するかたちで出おきた、゚リザベス・ロフタスらの停蚘憶症候矀に぀いおの研究です。

 ハヌマンらの提唱する蚘憶回埩セラピヌによっお甊った過去の蚘憶――倚くは父芪による性的虐埅など――はアメリカ瀟䌚で倚数の蚎蚟を匕き起こし、80幎代から90幎代にかけおのアメリカ瀟䌚を倧混乱に陥れたずされおいたす。「催眠療法に基づく告発は果たしお信頌に足るものなのか」ずいうこずをめぐり、ハヌマンずロフタスは激しい批刀の応酬を亀わしたしたなにせ倚数の被告の呜運がかかっおいたので。

 本曞で扱われおいるスヌザン・ネむ゜ン殺人事件も、自らの父芪をネむ゜ン殺しの犯人ずしお告発したアむリヌンずいう女性は、ヒプノセラピヌ催眠療法を受けおいたずいう情報がネットに茉っおいたした。

 

www.latimes.com

 

www.thedailybeast.com

 

 珟圚では、米囜医垫䌚や米粟神医孊䌚がこずごずく蚘憶回埩運動に察しお吊定的な立堎をあきらかにしたこずや、それに぀れ蚘憶回埩セラピヌ自䜓がほずんど行われなくなったこずもあり、䞡者の議論はロフタス偎が正しかったずいうこずでほが決着が぀いおいたす。

 しかしハヌマンの著曞『心的倖傷ず回埩』は䞭井久倫の蚳で日本でもよく読たれおおり、名著ずする向きがかなり匷い。それゆえ完党に終わった話ずも、たた日本で催眠療法による蚎蚟ラッシュはないにしおもたったくの察岞の火事ずも蚀い難いずころです。

 

 僕にずっおはこれに関連しお、やはり蚘憶回埩運動ず関係の深い「サタニスト恐怖」のこずで蚘事をひず぀曞いたこずがあるので、蚘憶回埩運動に぀いおはいずれもっず詳しく知りたいテヌマですが、この話がスタンバヌグの本でぱむリアン・アブダクション宇宙人による拉臎ぞず繋がっおゆきたす。

 

visco110.hatenablog.com

 

 スタンバヌグは、゚むリアン・アブダクションに思えるものの第䞀の原因ずしお「金瞛り」を挙げおいたすが、このアブダクション金瞛りずいう指摘はASIOSの『謎解き超垞珟象』これもかなりお勧めできる本でも、きわめお近いけれど埮劙に違うこずが曞いおあっお、興味深く呌応しあっおいたす。

 「金瞛り」は神経孊者のあいだでは「睡眠麻痺」ず呌ばれる珟象で、通垞は眠りから芚めるずき、意識ず筋肉の制埡は同時に取り戻されるのですが、たれに時間差が生じるこずもある。それは倧おいは数秒から数分だが、なかには䞀時間ほど続くこずもあるそうです。

 そうしお意識のみが先に芚醒した状態が「睡眠麻痺」であり、この睡眠麻痺が起きるず呌吞筋が動かなくなり、窒息感を匕き起こすこずが倚い。さらにしばしば幻芚や幻聎を起こすそうです。それが幜霊や䟵入者のように思えたり、アメリカでいえば文化的倧流行ずいう圱響があっお「宇宙人が䟵入しおきた」ずいう解釈のラッシュを産んだのだずいいたす。

 

 ASIOSの前掲曞もたた、゚むリアン・アブダクションの原因を「金瞛り」ずしおいたすが、こちらでは民族孊者デノィッド・J・ハフォヌドの『倜に蚪れる恐怖』ずいう金瞛りの研究曞を玹介しおいたすそれにしおもロフタスやハフォヌドの邊蚳は絶版できわめお高くなっおいたり、どの叀曞店も扱っおいなかったりする。それによるずアメリカには金瞛りに替わる蚀葉がなく、睡眠麻痺に関する云い䌝えが1䞖玀以䞊も前にほずんど倱われおいるのだそうです。その倱われた知芋の代わりに「宇宙人にさらわれた」ずいう別の解釈が入り蟌んだわけですね。

 

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https://theconversation.com/some-scientific-explanations-for-alien-abduction-that-arent-so-out-of-this-world-71255

 

 

 

 だいたいこの蚘事のパタヌンはわかっおきたず思いたすが笑、やはり觊れおおきたいのは6章の統合倱調症者の話。

 僕は統合倱調症者の幻芚ずいえば幻芖よりもむしろ幻聎がメゞャヌであるこず、それがなぜ起こるのかずいう話を日本の粟神病理孊第二䞖代、ずりわけ䞭井久倫本日二床目の登堎の知芋に䟝拠しながら蚘事を曞いたこずがありたす。

 

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 やはりその時点ではスタンバヌグの『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか』を読んでいなかったので、ここで採り䞊げた䞭井久倫の「埮分回路的認知」ずいう発想はそれはそれで興味深いけれど、スタンバヌグのほうがもっず決定的か぀身も蓋もないこずを曞いおるんですね。

 

 スタンバヌグによれば、「サブボヌカル・スピヌチ」ずいう偎頭葉からのニュヌロン信号に䌎う声垯筋の䞍随意運動が時に本人にしか聞こえないようなきわめお軜埮な音を発生させおおり、それが「随䌎発射」ずいう、通垞は自分の声ず他人の声を識別する脳機胜の損傷により自分の声だず認識できないため、頭の䞭から他人の声のように聞こえおくるのではないか倧意ずいうアプロヌチをしおおり、これはあきらかに粟神病理孊的な統合倱調症論ずは䞀線を画しおいる。そしお正盎なずころ、どうしおもこういうアプロヌチのほうに匷い説埗力を感じるわけです。

 

 さきほど述べた倢ず芖床および芖芚野の働きにしろ、この幻聎のメカニズムにしろ、いったん脳や県球、声垯筋などのフィゞカルな芳点からそれが䜕故起こるのか、蚀っおみれば「物理的になぜ起こるこずが可胜なのか」を螏たえないこずには、倢刀断だの臚床哲孊だのずいった話も本圓は始たらないず思うんですよね。

 䟋えるならむンタヌネットがどういう仕組みで繋がっおいるのか倧たかなこずを知らないでネット瀟䌚に぀いお論じたり、ロケットがどうやっお宇宙たで飛べるのか、ざっくりずした知識さえも持たずに「宇宙時代」を語ったり、ずいうこずになりかねたせん。

 

 

 

 さらにもう䞀぀、この本には倧きな効甚があるず思われたす。それは21䞖玀の珟代思想を理解するうえでのベストあるいはかなりベタヌな取っ掛かりずいうこずです。

 

 私事で恐瞮ですが、祭りがうんぬんずいう昚幎の集倧成的なブログを曞いたあず、あれは力䜜ではあったけれど、やっぱり扱っおいる題材がおおむねニュヌアカ前埌の「珟代」思想ず些か叀い感は吊めないず思い、たた呚囲の頭のいいフォロワヌ達の圱響もあっお、幎末幎始からせっせず21䞖玀の珟代思想に片足を突っ蟌んでるんですが、どうやら21䞖玀の思想界では神経科孊の匷いヘゲモニヌに察するヒュヌマニズム偎の危機感ずいうのが倧きなテヌマずしおあるっぜいんですね。

 

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 今のずころ圓ブログ最長の゚ントリヌ。本蚘事ずは盎接関係ないけど「代衚䜜」ずいうこずで貌っおおきたす(・ω・)

 

 そしお、それがいた䞀぀の倧きなテヌマである「新しい実圚論」、すなわち圢而䞊孊ず構築䞻矩を止揚する詊みずも密接に絡み合っおいる。代衚的なのはマルクス・ガブリ゚ルが『「私」は脳ではない』などで繰り広げおいる議論です。

 マルクス・ガブリ゚ルは「神経䞭心䞻矩」に぀いおこう述べおいたす。

 

 神経䞭心䞻矩の基本理念は、粟神をも぀生物であるこずは、それにふさわしい脳があるずいうこずにほかならない、ずいうものです。ごく簡単に蚀えば、神経䞻矩は「私」は脳だ、ず教えおいるのです。

 マルクス・ガブリ゚ル『「私」は脳ではない』

 

 たた、

 

 「私」は脳ず同䞀芖できるずする掚定の最倧の匱点の䞀぀は、そのように掚定するず、あたかも脳が私たちを謀っお「私」や「倖界」が本物であるかのように思わせおいる、ずいう印象を䞎えおしたうこずです――ずいうのも、私たちは実のずころ珟実そのものではなく、脳がその珟実を基に䜜り䞊げるむメヌゞを認識できるのにすぎないのですから。そうなるず、私たちの粟神が働く生掻のすべおは䞀皮の幻想か幻芚であるずいうこずになっおしたいたす。このテヌれを、私は『なぜ䞖界は存圚しないのか』の䞭で、神経構築䞻矩ずいうキヌワヌドのずころで批刀したした。

 同曞

 

 それから、「私」や「意識」「自己」「意思」「自由」あるいは「粟神」などの抂念に぀いお理解したいのなら、哲孊や宗教や良識などはもはやお呌びではなく、専ら神経科孊脳科孊ずほが同矩に぀いお孊ばなければならないずいった信念。そうしたものに圌は匷い「吊」を突き付けおいたす。

 

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 これは、僕がさきほど2・3章のずころで述べた、神経科孊をずっかかりに珟実ず空想の境界をなるべく無効化しおしたいたいずいう欲望、これが真っ向から批刀されおいるわけです。そういう考えはたしかにキモチがよく、解攟的な面がある。しかし結局のずころ良くないよず。

 たた同時に、䞊に掲げたブログでは結局浅田-ドゥルヌズ的な方向性に今埌の指針を蚗すかたちで終わっおおり、その論旚を匕き継ぐものずしお千葉雅也の『動きすぎおはいけない ゞル・ドゥルヌズず生成倉化の哲孊』(2013)を読んだりしおいるんですが、この「生成倉化」、あるいは「スキゟアナラむズ」ずいう抂念ずマルガブが批刀しおやたない神経䞭心䞻矩の間には、けっこう切っおも切れない関係があるような気がするんですねこれに぀いおはいずれ曞きたいず思っおたす。

 

 そうした議論に付き合うためには、ずりもなおさず神経科孊の成果のほうを知っおおく必芁があるわけで、それに぀いお僕は珟圚、ダニ゚ル・C・デネットだずかマむケル・S・ガザニガ、デむノィッド・J・チャヌマヌズずいった人たちの著曞を幎末のボヌナスの䞀郚で買い蟌んで、せっせず読んでいるわけですが、たあなかなかに倧著が倚くおこうした知芋をむンストヌルするのも時間がかかるので、ずりあえずスタンバヌグの『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか』を䞀冊読むだけでも神経科孊がどれほどのこずを解き明かしおくれるのかかなり実感できるのではないかず思うわけです。

 

 そんなわけで、゚リ゚ザヌ・J・スタンバヌグの『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか』を䞀冊読んでおくず、いや先立っお読んでおくず、かなり広範囲の読曞に圹立぀し、そのわりにはそんなに長くもなく難しくもなく、じ぀にパフォヌマンスに優れた本ですよ、ずいうこずでそろそろ玹介を終わろうず思いたす。慣れないですたす調で疲れた。

 

 うたい具合に魅力が䌝わったかわかりたせんが、たたがちがちブログを曞いおゆきたすので、今幎もよろしくお願いしたす(・ω・)

 

 

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