やすだ 😺びょうたろうのブログ(仮)

安田鋲太郎(ツイッターアカウント@visco110)のブログです。ブログ名考案中。

オープンすぎるSNSからの撤退

 

 人々が、オープンすぎるSNSから撤退している。

 

 この傾向はかなり以前(おそらくはゼロ年代後半)から断続的に観測されてきたもので、わかっている人にはなにを今さらな話だが、SNSの大海で気の合う、価値観が共有できる人を見つけ、そうした人たちをブログや動画配信サイトなどのセミオープンな場へ、さらにはDMやLINEグループ、オンラインサロンといったクローズドオンライン、またはサークルや団体、私塾(!)といった再帰的オフライン*1のコミュニティへと導く(導かれる)というのは必然的な流れで、多くの人が実感するところだろう。*2

 

 そしてその傾向が進めば進むほどSNSはコミュニケーションのためのものではなく、マッチングのためのものに変化してゆく。もはやオープンすぎるSNSが警戒心なく他人と付き合ったり、自由に意見や心情を述べたりできる場所だと思っている人は絶滅危惧種だろう(まあ形式上は自由ではあるけれど)。それもそのはず、人々がセミオープンまたはクローズドな場により安心かつ濃厚なコミュニケーションを求めて移行していった結果、オープンなSNSには「そうでない人たち」が必然的に居残ることになったからだ。

 

 一応言っておくと、彼らはオープンなSNSを専ら利用しているユーザーの一部にすぎない。ネットにそこまで人間関係を求めていない人もいるし、そもそも人間関係自体をあまり必要としていない人もいる。日々が忙しくて細かいことはやってられない人もいる。何らかの商売や宣伝目的でオープンなSNSを活用している人もいる。
 しかし、なかにはそこにしか棲息できない人達もいるのである。

 

 そこにしか棲息できない人達、すなわち常に孤独で、日々の鬱憤を晴らすべくサイバースペースを徘徊する野犬のようなアカウント……すぐ他人に喧嘩をふっかけ、ネットリンチに加担し、差別用語や底辺ネットスラングを撒き散らし、異性にキモいリプを送りつける魑魅魍魎達。
 まあそこまでは行かないにしても、本人が望んでいるにもかかわらず親密な関係を作れない(セミオープンまたはクローズドな場へ参入できない)人、なにかしら関係構築に問題がある人はいるんであって、オープンなSNSの限界を感じた人々がクローズドなコミュニティへ移行すればするほど、オープンなSNSはそうした人たちの相対的比率が上がってゆくことになる(僕もまったく他人のことを云う資格はありませんが)。

 そしてオープンなSNSはさらに殺伐とし、なおさら可能な人はクローズドなコミュニティへ軸足を移してゆくという循環的関係が促進される。一説では、こうした現象をThe Dark Forest Theory of the Internet(インターネットの暗い森理論)と呼ぶらしい。

 

 時代は変わってインターネットが闘争の場となった今、穏やかに過ごしたい人はクローズドな環境を求めるようになった。SlackやLINEのクローズドなグループチャットはその典型である。

 (インターネットの居心地の良い暗い森|ロバおじさん@脱賃金労働プログラマ|note)

 

 なんにせよ、SNSで会ったこともない人にいきなり罵声を浴びせるような人たちはただ戦場に取り残され、クローズドで居心地がよく有意義なコミュニティにはどこにも入れてもらえず、現実でも誰にも相手にされなくなっていく未来が来そうな気がします。

 (同ブログ)

 

 おい、すでに書かれとるやんけ!(汗) 

 

 *

 

 それにしても、いまにも「そんなこと言わないで、〇〇君も仲間に入れてあげなさい!」という担任の先生の叱声が聞こえてきそうだ。この現象に排除的な面があることは否めない。だが憂慮すべき一方、たしかに気の合う人だけでセミオープンまたはクローズドな場でまったりやっていたほうが快適だというのも、心当たりがなくはない(そういう人たちでも、出会い自体はオープンなSNS、あるいはそこからの芋ヅルである場合が多いのがミソ)。
 したがってとりあえずはこうした現状をスケッチするに留め、本稿では肯定も否定もしない。思えばインターネットは人間そのものを変えはしなかったが、人間関係のあり方についてはわずか数十年で大きな変化をもたらした。そしてその変化は刻々と続いているのだ。今日もまた。
 ひとまず、現場からは以上です。

*1:カール・マンハイムの「再帰的伝統主義」概念から拝借した。ネットのないころの「オフライン」と違い、ネットがあるのに敢えて「オフライン」コミュニティを選択するのは「オフライン的なものへの回帰」であり、純粋なオフラインとは異なる。第一に、それはオンラインとの相補的関係あるいは「オンラインでないもの」としてのオフラインであることを免れない。第二に、オフラインとはいっても連絡手段としてIT技術を利用している場合が殆どだからである。

*2:本文では「わかっている人にはなにを今さらな話」と書いたが、2020年は何度目かの”クローズドオンライン”ブームが来ていると思われる。新型コロナウィルスによる遠隔アプリの興隆がその直接の原因だが、たとえばそうしたアプリの一つであるZoomは、2020年の最初の二か月間で、昨年一年間を上回る222万人のユーザーを獲得した。